金利の場合は、政策金利よりも低ければ、「これはおかしい。特殊な需給で歪んでいるのだな」と、すぐに判断できる。単発的にそういうことがあっても、長続きはしない。長続きするようならば、政策金利を引き下げることになる。
しかし、為替レートには、直接的にそういったメルクマール(指標) になるものがない。為替は不特定多数の市場参加者がマーケットで売ったり買ったりして、需給を調節しながら最終的に均衡するレートに決まる。
マーケットには、さまざまな人たちの思惑、願望など、雑多な思いが込められている。この不特定多数の行動を読む方が難しい、と言えるだろう。そこには、ロジックがないからだ。
「何だかよくわからないけれど、売ってしまえ!」、あるいは「もういいや、買ってしまえ!」と、ロジックとは無縁のところで巨大な金額がマーケットに集まり、それが流れになってしまうこともある。
しかし、金利はそういうわけにはいかない。金利の場合は、政策金利を決める権限のある人間がどう考えるか、そして、上げ下げの幅がどの程度なのかを考えれば、おのずと読むことができるだろう。
通常は1回で大きく変動させるケースは少ないため、今回のFOMCでは、0.25%の利下げを予想する次第だ。
(2019年07月30日東京時間15:20記述)
◆松田哲(まつだ・さとし):三菱信託銀行、フランス・パリバ銀行、クレディ・スイス銀行などを経て、オーストラリア・コモンウェルス銀行のチーフ・ディーラーとして活躍。現在は松田トラスト&インベストメント代表取締役として外国為替や投資全般のコンサルティング業務を行う。HPは「松田哲のFXディーラー物語」(http://matsudasatoshi.com/)。メールマガジン「松田哲の独断と偏見の為替相場」も発信中。