その理由として、1つは金の埋蔵量。陸上の金鉱脈は徐々に枯渇しつつあるため、今後は海底の金鉱脈を採掘するしかありません。しかし、海底の採掘にはコストがかかる。最低でも、金価格が今の10倍ほどにならないと採算が合いません。
このように供給が限られる一方で、2つ目の理由としては、中国とインドという2つの大国の需要が大きいことが挙げられます。中国とインド、計26億人もの人口を抱える大国が世界の金生産量の6割以上を買い占めています。これだけ需給が逼迫していることが目に見えている以上、長い目で見れば、金価格は下がるはずがありません」
ではいったいどこまで上がるのか。豊島さんの見方だ。
「2020年には6000円を超えるとみています。10年、20年の長期で見れば、過去10年間がそうだったように、2倍近い上昇になっても不思議ではありません」
ただし、いつ下がって、どのタイミングで上がるかはプロでも見極められない。そこで豊島さんがおすすめするのが、まとめ買いではなく、コツコツと「純金積立」を続けることだという。
田中貴金属工業や三菱マテリアルなどが行っている「純金積立」は、月3000円から(ネット証券は1000円から)と少ない元手で始められる。金もこれまで紹介してきた長期投資と同様、毎月一定額を買いつけることで、長期的には平均購入価格を押し下げてリスクを低減できる。
「よく言われる『有事の金』とは、有事に慌てて買いに走ることではなく、平時にコツコツためて有事に備えるということ。プロでさえ相場が読めないからこそ、普段から積み立てるべきなんです。
本来、金は短期的な利益を狙うものではなく、保険感覚で長期でためるもの。株や国債などの『主役』に対して、金は『脇役』。金への運用配分は、せいぜい財産の10%程度にとどめておくべきです」
※女性セブン2019年9月5日号