「葬式、四十九日、一周忌は最低5万円、三回忌、七回忌は3万円は包みます。ウチの両親の時にそのぐらい頂きましたから。交通費は、地方まで足を運ぶ必要があるのが14人で、往復3万円ぐらいでしょうか」
これらを合計すると、以下のようになる。
【香典】
21人×5万円×3回(葬式、四十九日、一周忌)=315万円
21人×3万円×2回(三回忌、七回忌)=126万円
【交通費】
14人(地方在住者)×3万円×5回(葬式~七回忌まで)=210万円
【合計】
315万+126万+210万=651万円
非常に粗い計算だが、この先30年間と仮定して、毎年20万円以上が飛んでいく計算になる。ちなみにTさんは自営業で、収入はごくごく平凡だ。それならいっそのこと、どこかで関係をスパッと切ってしまうのも1つの手だが、Tさんはそうする気はないという。それには2つの理由があるそうだ。
「最大の理由は、子供の頃にとても可愛がってもらったからです。海や山、遊園地、映画館、デパートなど、本当に色々な所に連れて行ってくれ、美味しいものをごちそうになり、色々な物を買ってもらいました。歳の近い従兄弟たちも仲良く遊んでくれました。そんな彼らとの関係を自分から断つことは、私にはできません。
ただもう一つ、いやらしい計算があるのは事実です。私は今のところ、何とか自力で生活できていますが、もし生活が立ち行かなくなった時には、親戚たちを頼るつもりです。逆の立場になれば、もちろん手助けします。そう考えると、法事に掛かる費用は一種の保険、もしくは互助会の会費ですね」
ちなみにTさんは従兄弟も20人近くおり、結婚式、出産祝いなど、親戚関係の出費はまだまだ尽きることがないのだとか。厄介な親戚が1人もいないのは羨ましいが、親戚関係が良好すぎるのも、それはそれで苦労があるようだ。