お盆の時期に故郷に帰り、親戚や旧友と楽しい時を過ごした人も多いだろう。核家族化や少子化が進み、人の繋がりが薄まりつつあるなか、親戚関係が良好なら、そんな喜ばしいことはないが、関係が良すぎるとどうなるのか? 都内在住のTさん(40代・男性)は、彼の身に待ち受ける“法事の無限ループ”に頭を悩ませているという。
Tさんがその事実について初めて真剣に考えたのは、今年の7月、母方のおばの葬式に出席するため、宮城県まで足を運んだ時のことだ。Tさんは早くに両親を亡くしており、妹はすでに結婚して家を出ているので、そういった場所に足を運ぶのはT家の長男であるTさんの役目。しかし、帰りの新幹線であることに気づいた。
「我が家はずっと親戚同士の仲が良いので、亡くなったおばの葬式に出るのは当たり前のことでした。仕事は大変忙しかったのですが、父の葬式も母の葬式も親戚は勢揃いしたので、欠席するという発想はありません。通夜と葬儀に出席し、来月には49日が控えていますが、そちらもすでに出席する旨を伝えています。よほどのアクシデントがなければ一周忌、三回忌、七回忌も出ることになるでしょう。ただ問題なのは、父が6人兄弟、母が5人兄弟だということです」
現代では3人もいれば子沢山だが、戦前は5人、6人兄弟など珍しくもない。子供の頃は、たくさんいるおじやおばに可愛がってもらったTさんだが、そのおじやおばも今や80代に近づいている。
「父の兄弟、母の兄弟は全員結婚しているので、私にはおじとおばが18人おり、先日亡くなったおばを除く17人が健在です。さらに100歳を超えた祖母も元気で、祖父の兄弟も3人健在です。私がこれから先、それらすべての親戚の葬式、四十九日、一周忌、三回忌、七回忌に呼ばれるのは間違いありません」
おじとおば、祖母、祖父の兄弟は合計21人。葬式から七回忌までイベントは5回あるので、都合105回足を運ぶ計算だ。しかも彼らの住まいは近所ではない。親戚は宮城、東京、千葉、愛知、京都、福岡など、全国各地に散っている。もちろん交通費もかかる。これから先、Tさんは法事でいくら必要になるのか?