ネットを中心に大きな話題となった「子供部屋おじさん」。親元を離れず実家の子ども部屋に住み続ける独身の中年男性を評したこの言葉は、大きな注目を集めている。
多くのメディアで子供部屋おじさんの実態や問題点が報じられたが、海外移住のため一時的に実家に戻っており、一時的に“子供部屋おじさん”を満喫中だという30代男性会社員は、「メリットもあるが、複雑な気持ち」とその心境を明かす。
「僕が確かにそこで育った形跡があちこちにある。帰省のときはあまり感じなかったけれど、ある程度長期で住むと、そういう空気感は本当に居心地がいい。この環境にどっぷりつかってしまうと、経済力が乏しい場合はもちろん、仮に自活能力があったとしても、家を出る意味を見失いかねないですね」(以下、Aさん)
確かに実家住みなら、一人暮らしを維持するための家賃や家事などの負担も軽減されて快適だ。だが、Aさんは今、70歳近い親と向き合ったことで、若いころとは違う感情が沸き上がった。
「実家は、本当に楽ですよ。黙っていても食事が出てくるから、体重が増えたくらいです。気づいたら洗濯がされているときもあり、感謝しかない。多少お金を渡したとしても、家賃や光熱費も一人暮らしとは比べ物にならないくらい安くて済む。お金も貯まる。ギリギリで一人暮らししている男性よりも、子供部屋おじさんの方が意外とお金を持っている可能性はあると思います」
とはいえ、Aさんは実家に戻ってから、一抹の寂しさも覚えている。親と子という関係は同じでも、この歳になると親や実家の部屋を見る視点が明らかに変わったというのだ。実家に残した漫画や衣服などの荷物、親が保存している子供の頃の思い出の品々を見て、処分を検討するようになった。