「両親はあれこれ理由をつけて『捨てられない』『もったいない』と言って聞く耳を持たず、頑固で困ります。僕は一人っ子ということもあり、僕主導で整理整頓していかなければならない。少し早いですが生前整理の意味合いもあります」
親と子という関係性は変わらない。だが、その力関係や役割が逆転しつつあることも、ひしひし感じているようだ。
「いつの間にこんなに親が小さくなったのかって、寂しくなりました。買い物はできる限り一緒に行って、荷物は必ず持つようにしています。会計も半分以上は出します。外食も率先してお金を出すことが増えました。家事もできる範囲で手伝っています。昔は、そんなことは一切しませんでしたからね」
子供部屋おじさんを体験したAさん。貴重な気づきがあったと話す。
「子供部屋おじさんは悪いイメージで語られがちですが、親も子もそれで納得しているなら幸せだと思いますし、他人がとやかく言うことではない。とはいえ、親はいつまでもいるわけではないので、甘えっぱなしというのはリスクが高い生き方ではあります」
未婚や少子化につながるとされ、問題視されるケースもある子供部屋おじさん。“セーフティーネット”として機能しているうちはいいが……。