もし、アメリカが本当に中国の台頭を阻止したいなら、冷戦に持ち込むしかない。中国が核保有国であることを考えれば、武力衝突などありえない。国際社会と積極的に連携を取り合いながら、中国を孤立させることが戦略として考えられるが、トランプ大統領のアメリカ第一主義、G7軽視などは真逆の戦略である。
トランプ大統領は2019年の経済成長率目標を3%としているが、前週発表された4-6月期改定値は2.1%から2.0%へと下方修正されている。目標達成がほぼ不可能な状態となっている上に、米中貿易戦争の激化による景気への悪影響は確実にアメリカの景気を蝕むことになるだろう。
トランプ大統領脚本の対中貿易戦争劇はシナリオの変更ではもはや有権者を喜ばすことができなくなってきた。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。