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減りゆくテレビCM、制作現場の変化と働く人たちのジレンマ

華やかなテレビCMを支える、制作会社の仕事にも変化が(イメージ)

華やかなテレビCMを支える、制作会社の仕事にも変化が(イメージ)

 電通が毎年発表する日本の広告費調査によれば、地上波テレビの広告費は1兆7848億円。前年比は98.2%とマイナス成長にとどまっている。一方でインターネット広告費は1兆7589億円と前年比116.5%と成長が続いており、2019年にはテレビCMの規模を上回ることが予想されている。

 厳しい市況の中、テレビCMの現場は今、どうなっているのだろうか。大手のテレビCM制作会社で企画制作を統括する、現役のプロダクションマネージャー・Aさんがその実情を語る。

いまでも莫大なテレビCMの制作費

「うちの会社の売上の6割が、テレビCM制作の仕事です。YouTubeやSNS関連の動画、ミュージックビデオなどの仕事も増えていますが、会社にとって一番実入りが大きいのはテレビCM。制作にかかる工数はほぼ変わりませんが、制作費の相場は、テレビCMが2500万円、ウェブCMは1000万円前後と大きな差があります」(Aさん・以下同)

 華やかそうに見えるCM制作業界にも、経費削減の波は及んでいるという。

「仕事が他の制作会社に流れないように、広告代理店関係者をキャバクラ、焼肉などで接待する昭和気質のプロデューサーもいまだに存在します。ただ、業界全体では、余計なコストはどんどん減らしていく方向。打ち合わせ時の軽食や資料の印刷などは減らしていく動きはあります」

電通の事件以降、労働時間は2割減

 映像制作の現場は、労働集約型の産業。通常の制作期間は2か月ほどだが、半年以上かかる大規模なプロジェクトも存在する一方、わずか1週間で撮影までを終えないといけない場合もある。Aさんの会社でも、以前は月の労働時間が300時間を超えることもあったというが、昨今は無茶な働き方を是正中だ。

「電通での過労死事件の影響を受けて、制作現場での働き方ははっきりと変わりました。労働時間はかつての8割ほどに。でも、制作にかけられる時間が減ったからといって、作品の質は下げられない。現場には、良い作品を作りたいのに、かつてほど時間とコストをかけられないジレンマが常にあります」

 備品の買い出しや撮影の下調べ、小道具制作などの地味な仕事も少なくない。しかし、世界中のロケ地を巡り、人気の俳優や著名人と仕事が出来るなどの醍醐味も多い。

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