企業概要
レーザーテック(6920)は、半導体製造に必要不可欠な検査・測定装置を開発・販売する半導体検査装置メーカーです。
グローバルニッチトップ戦略を掲げ、マスクブランクス欠陥検査装置で世界シェア100%、フォトマスク欠陥検査装置で世界シェア75%と、グローバル規模でトップポジションを確立。また、この2つをコア技術として開発した半導体ウェハ向け検査装置やパワーデバイス向けSiC検査装置などでも高いシェアを獲得しています。
こうした実績の背景には、1962年の設立以降掲げてきた「その時代にないものを開発する」という経営理念があります。独自の光応用技術をコア技術として、次世代技術を支える製品開発を続け、ついに1976年には世界初となるLSIフォトマスク自動欠陥検査装置を開発。以降も、時代の先を見据え、「マスク欠陥検査装置」や「マスクブランクス欠陥検査装置」、「FPD用マスク欠陥検査装置」といった既存製品の技術革新、開発を続け、世界トップの座を獲得していきました。
現在シェア100%のマスクブランクス欠陥検査装置も元々は日立ハイテクノロジーズなどが有力企業でした。ところが製品規格が180nm~130nmとなる2000年頃、後発の同社が既存製品を上回る検査感度の150nm対応製品を投入したことで一気にシェアを獲得。さらに日立ハイテクノロジーズが撤退したことシェア100%を獲得するに至りました。
注目ポイント
同社はこれまで、コア技術である光技術を応用し、次世代製品に必要な製品開発を行ってきました。IoT時代に必要となる小さな半導体の製造に必要な製造装置に欠かせない製品の開発、というとてもニッチな領域ではありますが、ここでトップを獲ってこれたのは、高い技術力と市場ニーズを反映できる研究開発体制があったからこそ。
同社では売上の10%を研究開発に投じ、全従業員の6割強がエンジニアという研究開発にウェイトを置いた運営を行っています。設計から開発・試作までは自社で行って、量産工程は委託するファブライト体制をとり、固定費を抑制しながら、その分経営資源を研究開発に集中させることで、他にないオンリーワンの製品を生み出すことに成功してきました。それが7nmに対応できるEUV用製品の開発に結び付いた勝因だと思います。
同社ではさらに5nm世代で用いられるEUV関連装置の開発を進めています。半導体の微細化レベルは3nmまで行くとの見方もあるだけに、成功すれば長期的ですが更なる先行者メリットを享受することができると思います。
【PROFILE】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。