田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国の金融緩和は日本市場にどう影響するか

 前者に関して具体的な内容を示すと以下の通り。

・職業訓練学校において100万人の募集を増やし、1000億元の失業保険基金を運用して大規模の職業技術トレーニングなどを行う。
・豚肉の供給を確保するなど全体の物価の安定を図る一方で、貧困層への救済として物価スライドによる生活保障を行う。
・引き続き減税、政府手続き費用の軽減を進める。
・今年の地方政府特別債発行枠を9月末までにすべて使い切り、10月末までにすべての資金をプロジェクトに投入するなどして、さらに一歩進んで有効な投資を拡大させる。
・実質的な金利水準の引き下げを加速し、適宜、全面的な預金準備率の引き下げ、特定先向けの引き下げなどを行い、実体経済、特に零細企業に資金が回るようにする。

 また、後者の具体的な内容は以下の通り。

・地方政府が行う重大プロジェクトの資金需要を満たすため、来年の特別債発行枠の一部について、規定に従い前倒しで与え、来年早々にも利用できるようにする。
・特別債における資金使途の範囲を拡大する。具体的には、鉄道、軌道交通(地下鉄など)、駐車場などの交通インフラ、電力ネットワーク、天然ガスネットワーク、天然ガスタンク設備などのエネルギー関連プロジェクト、農林業の水利、汚水処理などの環境関連プロジェクト、職業教育、保育所、医療、養老などに関する民生サービス、低温流通体系設備、水道・電気・ガスなどのインフラ設備。
・特別債券で調達する資金量はプロジェクト全体(ただし、当該省の負担分)の20%前後とする。
・管理を強化し、建設途中で止まってしまうようなプロジェクトの出現を防止する。

 後者については資金的裏付けを強化するための対策であり、これまで以上に着実にインフラ投資が行われることになるだろう。景気、企業業績への直接的な影響の大きな政策といえそうだ。

 中国本土市場ではこのところ株価は回復基調にある。上海総合指数は8月6日をボトムにはっきりとした上昇トレンドが出始めている。9月9日現在、6連騰となっており、節目の3000ポイントを超えてきた。

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