ビジネスパーソンの服装はひと昔前よりもラフになってきたが、それでもスーツスタイルが基本という業界は少なくない。だが、そうしたスーツイメージの筆頭ともいえる銀行が“脱スーツ”を決断したことで、大きな衝撃が広がっている。
三井住友銀行は9月2日から東京と大阪の本店で、スーツ着用を見直し通年でカジュアルな服装を認めた。「お堅いイメージ」の銀行が、夏場のクールビズだけでなく通年で服装を自由化する、という方針を打ち出したことに、普段スーツで働くビジネスパーソンたちは何を思うのか。
食品メーカー勤務の20代男性・Aさんは「時代が来た」と銀行の服装自由化に期待を寄せている。
「もちろん業界によるとは思いますが、日本の夏にスーツが義務っていう風潮が残っていること自体、“ハラスメント”だと感じます。多様性が尊重される現代にはナンセンス。スーツを着ている本人も苦痛だし、その姿を見る側だって暑苦しく思うもの。夏場のスーツ着用は『誰得?』って話です。銀行を皮切りに多くの業界に広がることに期待しています」
そんな“スーツ嫌い”なAさんは、以前在籍していた会社で、いつもスーツ姿の上司に違和感を覚えていたという。
「最初の会社では、『営業相手の服装に合わせる』という名目で、夏でもスーツを着込んでいる上司がいて、誰からも強要されていないのに不思議でしかありませんでした。この論理で言えば、営業がスーツを着なくなれば、こういう人もいなくなるのかもしれません」(Aさん)
製薬業界に勤務する30代男性・Bさんは、夏場だけのカタチだけの「クールビズ」に嫌気が差していたが、今回の三井住友銀行の決定に勇気づけられた。
「夏場だけクールビズで服装を崩すことに、何の意味があるのかと思っていましたが、これが日本人の“スーツ好きという病”を治すきっかけになればいいと思います。スーツでも私服でも選べるようになればいい」