日本のYouTuberの中でいちばんの知名度を誇るヒカキンもまた、会社員を経て専業のYouTuberとなったひとりだ。芸能関係者が解説する。
「楽器を使わず、人間の発声器官だけで音楽を奏でるヒューマンビートボックスというジャンルで注目されたヒカキンさんですが、彼も元はサラリーマンだった。高卒後に新潟県から上京し、4年ほど寮住まいで貧乏暮らしをしつつ、都内のスーパーの食品部門で働いていたそうです。その間も動画投稿を続け、YouTubeの報酬が会社員としての給料を超えたのを機に退職したという話は有名です」
1990年代から長く続いた就職氷河期、そして終身雇用制度の崩壊。さらに、派遣やアルバイトなど非正規雇用が増えていき、“とにかく仕事がない”という体験をした人は多い。
なんとか職にありついたとしても、自分の適性を生かした仕事であることはまれ──1990年代以前に社会に出た人たちには理解のできないほどの絶望が、若者たちを取り囲んでいるのだ。そんな境遇にありながらも、社会で苦労を重ね、たどりついたのがYouTuberという“居場所”だった。
※女性セブン2019年9月26・10月3日号