閉じる ×
中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

仲の悪かった相手と久々の再会、「負の感情は時が解決する」は本当か

一度こじれた人間関係は修復できるのか

一度こじれた人間関係は修復できるのか

 一度悪化した人間関係というものは、いずれ修復され、良好なものになるのだろうか。長い人生のあいだには、人間関係の清算が必要になるときもあるかもしれないが、関係を修復できるのはどんなケースか。人間関係の取捨選択について論じた『縁の切り方』などの著書もあるネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、自身の体験をもとに考察する。

 * * *
「時が解決する」という言葉は真実だな、と最近しみじみと感じます。一度は冷え込んだ関係であっても、その後10年もすれば関係修復されることは案外あります。若い頃、私はかなり無能だったため、仕事で数々の失敗をしてきました。

 それこそ、寝坊で遅刻をしたり、メールの返事を怠ったため業務が遅れたりしたこともあります。そうしたことから呆れられ、無視をされたり激しく叱責されたりしたこともありました。これらは私が完全に悪いものの、他にも「なんかお互い気が合わないな」といった関係の人もいました。多分それは「社会人としてなっていない」といった尺度で見た場合、私の言動や格好が耐えられなかったのだと思います。

 若い頃出会ったA氏は、私のことを嫌っていると明確に言いました。売り言葉に買い言葉で「Aさんがオレのこと嫌いなんだったらオレもAさんのことを嫌いということにしますわ」とまで言い、険悪な関係になりました。

 しかし、不思議なもので、A氏を含めた何人もの人と10年以上経ってから仕事で再会すると、当時の憎しみや苛立ちが互いになくなっていることに気付きます。そんな感情よりも、懐かしさやこの移り変わる時代の荒波の中、お互い仕事人として生き残れてきたことを喜び合う「盟友」的関係になっているのです。

 互いに過去のモヤモヤした関係を覚えているだけに、どこかに気恥ずかしさはある。しかし、それをまったく言葉にすることなく、淡々とお互いの得意分野を駆使して仕事を進めていくのです。ビジネスライクでドライな感覚ではあるものの、10年以上の時を経て「仕事に余計な感情を持ち込むのは無駄」と考えられるまでにお互い成長したのでしょう。

関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。