内閣府の『高齢者の経済・生活環境に関する調査』によると、60歳以上世代の約21%が、子や孫が成人した後も生活費の面倒を見ている。もちろん、学生は含まない。成人した子(孫を含む)の生活費のほとんどを親が賄っているケースも5%にのぼる。
夫婦の年金は厚労省の標準モデルで月22万円、仮に幼子を抱えた娘が出戻ってきて収入がなければ、最低限かかるであろう5万円の生活費の増加分は祖父母が負担するしかない。
娘の仕事が早く見つかっても、子供が小さいうちは保育園の送り迎えなどでなかなかフルタイムで働けない。パートで働いていた祖母が、娘の仕事を優先させてパートを辞めたり、シフトを減らして孫の面倒を見るケースも珍しくない。そうなると祖父母の世帯は出費が増えるだけでなく、収入もダウンになってしまうケースも考えられる。
しかも、出費は孫の成長とともに増えていく。文科省の「子供の学習費調査」(平成28年度)によると、子供1人あたりにかかる学習費(教育費+塾や習い事の年間費用)の平均は、公立小学校で32万円、公立中学校で48万円、私立高校になると104万円にアップする。
そうした負のスパイラルを断ち切る手立てはあるか。実は、シングルマザーには国や自治体が手厚い制度を設けている。ひとり親世帯に対する一番大きな支援制度は国の「児童扶養手当」だ。
これは18歳未満の子供を持つひとり親世帯に対する手当で、所得制限はあるものの、子供1人あたり最高月額4万2910円(2人目は1万140円加算)が支給される。
生活費が高い東京都には自治体独自の制度としてひとり親世帯への「児童育成手当」がある。金額は子供1人あたり一律に月額1万3500円だ(親の年収575万円未満が支給の目安)。