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老親の「子供リスク」、出戻りシングルマザーや中年引きこもりも

 そして中学校卒業未満の子供をもつ全世帯が対象の国の「児童手当」(0歳~3歳未満は月額1万5000円、3歳~中学校までは月額1万円)がそれに加わる。

 東京在住でこの3つの児童手当を受け取れる場合、子供が3歳未満なら1人あたり月約7万円、3歳以上なら約6万5000円が支給される。これなら十分生活費をカバーできる。

生計を別々にするメリット

 注意しなければならないのは、「児童扶養手当」だ。ファイナンシャル・プランナーの井上美鈴氏が語る。

「この手当をもらうには収入制限がある。母親の年間所得が87万円未満なら満額支給ですが、所得230万円を超えると1円ももらえない。ただしシングルマザーが実家で親と同居している場合、親の年金などを合わせた世帯収入で判断されます。同居していても祖父母とひとり親が別生計であることが証明できればいいのですが、最近では“住所が一緒であれば同一生計”とみなす自治体も増えています」

 表にひとり親世帯への主な助成制度をまとめたので、祖父母も一緒に把握しておきたい。

 もう一つ「子供リスク」で社会現象になっているのが「中年引きこもり」で、彼らの生活費は親の収入で賄っているケースが多い。

 政府は61万人(内閣府調査)ともいわれるこうした層を社会復帰させる政策に乗り出しているが、自分の息子がそうなれば、制度上の対応策はあるのだろうか。社会保険労務士の木村昇氏が指摘する。

「子供にかかる費用を何十年にもわたって全部、親が負担すると共倒れになりかねない。例えば、国民年金の保険料(月1万6410円)は、子供に収入がなければ免除申請を行なえばいい。そうすれば年金加入期間に計算され、保険料ゼロでも半額の年金が支給されます。また、子を扶養家族にすれば親の税金も安くなります」

 あらゆるリスクを完全にカバーできるわけではないが、対応する制度を知っておけばいざという時に慌てずに済むはずだ。

※週刊ポスト2019年10月18・25日号

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