日本一の長さを誇り、雑貨店や衣料品店、飲食店など600の店舗が軒を連ねる大阪市の天神橋筋商店街。10月1日、消費税が8%から10%に引き上げられると、至るところで大混乱が生じていた。陶器店オーナーが眼をこすりながら呟く。
「8%から10%への値札の貼り替えで徹夜ですわ。安倍さんが商店で値札の貼り替えを手伝うパフォーマンスでもすればまだ気が紛れたやろうけど、こんな手間ばかり増える増税でホンマに腹立たしい」
今回の増税では、食料品などを税率8%に据え置く軽減税率が導入された。この措置を「ありがた迷惑や」とボヤくのは同商店街の100円ショップ店主だ。
「ウチは食品や生活用品など6000のアイテムを扱っています。食べ物とそれ以外で税率が変わりますが、全商品に値札を貼るとキリがない。レジで担当者が食品かそれ以外かを見て税率を打ち込むことにしました。間違いも起きるやろうけど、『ゴメン』言うて打ち直すしかないやん」
レジ前にはこんな注意書きが貼り出されていた。
〈手打ちレジなんで10%8%打ちまちがいも発生します。お客様におかれましてはその場でレシートを見て下さい。お願いしますね〉
混乱に拍車をかけたのが、同じ食料品でも店内で食べると10%になり、持ち帰ると軽減税率の8%となることだった。消費者にはこの仕組みがなんともわかりにくい。
「イートインは8%で……と説明して、“なんやそれ? ビジネスホテルか?”というお客さんのボケを今日だけで何度聞いたことか……」(ファストフード店店主)
※週刊ポスト2019年10月18・25日号