生まれ育った地方でそのまま就職する人たちがいる一方、高校・大学を卒業後、単身上京して、一人暮らしをしながら働いている地方出身の若者たちも多い。そんな彼ら/彼女らは、離れて住む両親に「仕送り」をしているのだろうか。東京に住む地方出身者に、その実情を聞いてみた。
仕送りするのは「当たり前」という“教育”
社会人6年目の20代女性会社員・Aさんは、毎月欠かさず両親へ3万円の仕送りを続けている。学生時代、東北地方に住む両親から毎月約10万円の仕送りを受けていたAさんにとって、実家への仕送りは自然な流れだと語る。
「中高生の頃から、実家に仕送りすることは当たり前と教えられてきました。現在働いている企業への内定が決まった段階で、親に誓約書を書かされました。毎月の負担は大きいですが、東京の大学に送り出してもらった御礼も兼ねて続けています」(Aさん)
周囲の友人を見ると、実家に仕送りをしている人はいないというが、Aさんは仕送りをしていることに後悔はまったくない。
「実家ではどうやら手を付けず、貯めてくれているようです。自分の手元にあればどうしても散財してしまうことを考えると、今では信頼できる貯金のようなものなのかなととらえています」(Aさん)
年金不安もあり、自分の生活で精一杯
関西に住む両親に対して、お土産やプレゼントを渡した経験はあるものの、金銭を送ったことはないと振り返るのは、30代の男性会社員・Bさんだ。
「両親は元気でまだ働いています。稼ぎもまあまあで、私より遙かに生活に余裕がある。私はといえば、自分の生活を送ることに必死で、仕送りを考えたこともありません。自分たちの世代は、賃金も下がっているうえに、年金を満額受給出来るか分からない。仕送りなんていうシステムは、経済が成長していた時代の産物であって、先行き不透明な令和のサラリーマンには、現実的ではないと思います」(Bさん)