縁側で日向ぼっこをしながらウトウト……。ひと昔前ならこんな姿も高齢者の当たり前。しかし、超高齢社会(*)の現代においては、年を重ねても元気で活動的な人も増え、イメージはさまざまに広がった。
【*全人口に対し65才以上の人口が14%以上を「高齢社会」、21%以上を「超高齢社会」という。日本は2007年に超高齢社会に突入した。最新調査(2018年度)では28.1%】
そして老親の傾眠傾向を見て「最近まで活動的だったのに、なんだか元気がなくて居眠りまで……」と、親の老化を初めて目の当たりにする子供世代は焦るのだ。慌てて治療すべきなのか、放置してよいのか。
そこで高齢者医療・老年医学研究の拠点、東京都健康長寿医療センター総合内科部長の岩切理歌さんに、高齢者の傾眠のとらえ方を聞いた。
“傾眠”とは、ぼんやりウトウトしていて睡眠に陥りやすい状態のこと。声をかけるなど軽い刺激で目を覚ます程度の状態で、高齢者にはよく見られるが、“昏迷”“昏睡”と続く意識障害の第1段階でもあるという。
「高齢になると健康な人でも、夜深く眠り、日中は覚醒して活動的になるというリズムが崩れやすくなっています。日中、ぼんやりしたり居眠りしたりするのは、病気の兆候として表れる場合もありますが、加齢をはじめ、不眠や脱水、薬の影響などさまざまな要因が微妙に絡み、検査しても異常がないこと、治療に結びつかないということもよくあります」(岩切さん)