それでも、老親の傾眠が気になる時、どんな可能性があるか知っておくと慌てずにすむ。高齢者に多く見られる傾眠の6つの原因を、岩切さんに挙げてもらった。
【昼夜逆転・認知症】
夜、眠れないため睡眠量が足りず、昼間の眠気を引き起こす。活動量が少なく、生活リズムが乱れがちな高齢者全般に起こりやすいが、特に認知症の人は無気力状態を伴う傾眠が多い。
【脱水・食事摂取量の減少】
体内の水分、ミネラル分が不足し、脳や全身に酸素や栄養が行き渡らず、傾眠、意識障害に至ることも。高齢者は水分を保持する力が弱い上に、のどの渇きも感じにくく、水分摂取量が不足しがちだ。また普段の食事量や回数が減ることでも脱水のリスクが高くなるが、傾眠傾向の時に無理に飲食をさせると誤嚥しやすいので注意。
【内科の病気】
高齢になると免疫力が落ち、感染症を起こしやすい。肺炎や尿路感染症が多く、誤嚥や排尿障害が原因となる場合が少なくない。炎症によりぐったりして、食事が摂れなくなったり、傾眠状態が表れたりする。高齢者は発熱や咳などの目立つ症状が出ないこともあるので注意。
【慢性硬膜下血腫】
転倒などで頭部を打った時、脳と硬膜の間に血腫ができて脳を圧迫し、傾眠や片麻痺が起こる場合がある。高齢者の多くが服用する、血液がサラサラになる抗血栓薬の影響で、軽い打撲でも脳出血を起こしやすいことが報告されている。打撲から1~2か月かけてじわじわ進行することもある。