飲み会の支払いの際に、“傾斜配分”という言葉が使われることがある。参加者の関係性や幹事の裁量によって、金額を割り勘ではなく、差をもうけるという意味だ。ここで職場での役職や年次と並んで、傾斜を左右する条件の一つとなるのが、男女という性差。合コンや婚活パーティのような出会いの場はもとより、気心の知れた飲み会の場でも、女性の支払い金額は低く設定されることは少なくない。性別によって飲食代に差をつけるこの慣習について、若者たちの本音を聞いてみた。
「日本ならではの文化」にショック
アメリカの大学を経て、日本でIT企業に勤めている20代の男性・Aさん。参加した飲み会で、男女間の金額差を知り衝撃を受けたと明かす。
「海外での人間関係は、年齢や性別、人種を問わずフラット。特に、性差による差別や特別扱いは、年々タブーとなってきている風潮があります。日本では、同じ空間で共通の体験をしているにもかかわらず、男女で傾斜をつけることが多い。特に、40代以上の男性には、その傾向が顕著なように感じます」
金額を多く払おうとするのはマウンティングか
広告関連の仕事に就く20代の女性・Bさんは、仕事関係での飲み会でも、男女で金額差が発生することに納得がいかないという。
「仕事の一環としての異業種交流会では、参加者は“上下”の関係にない。それにも関わらず、女性に対して、傾斜をつけてくる人がいます。多くの金額を支払おうとするのは、優位な立場になりたい、一種のマウンティング行為にさえ思える。特に、年齢の近い男性にされると、下心があるのではと邪推してしまいます。女性だから稼ぎが少ないと先入観を持たれがちですが、十分に稼いでいる自負はあるので、低く見積もられた気分になってしまいます」