住んでみたい街の理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか? まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は? 今回は「学芸大学」(東京都目黒区)について、ライターの金子則男氏が解説する。
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東京人には周知の事実でも、上京した方にはややこしいのが、東急東横線で隣り合う学芸大学駅と都立大学駅の2駅。駅名のもとになった東京学芸大学ははるか昔に小金井市に移転していて、学芸大学駅にはありません。また都立大学駅に至っては、東京都立大学が移転した上、学校名も首都大学東京に変わり(しかも2020年には再び東京都立大学に)、非常に紛らわしいことになっています。駅名改称の動きもありましたが、すでに駅名が定着しているため、改称されずに現在に至っています。
学芸大学駅は、鉄道は東急東横線のみですが、東横線はそのまま副都心線に乗り入れており、中目黒駅ではホームの向かいで東京メトロ日比谷線にも乗り換えられるので、不便さを感じることはないでしょう。急行も停まります。駅前の道が狭いため、バス停は駅から少し離れていますが、五反田、恵比寿、用賀などに向かうバスがあり、これらも有効に活用できるでしょう。
道路状況はまぁボチボチといったところでしょうか。上述したように駅前の道が狭く、車やタクシーで駅前まで乗り入れるのは難しいですが、近隣には駒沢通り、目黒通り、環七(環状七号線)などがあり、車移動にはもってこい。ただ、高速道路の入り口までやや距離があります。富裕層が多く住まう街だけに、とにかく外車だらけ。目黒通りには外車のディーラーが一通り揃っています。
自由が丘や中目黒よりもポイントが高い
東横線には代官山、中目黒、自由が丘、武蔵小杉など、住みたい街ランキングで上位に入る人気タウンがいくつもありますが、学芸大学で特筆すべき点は、住民の満足度の高さです。不動産情報サイト『スマイティ』では、各駅の住みやすさを住民がレビューしていますが、その総合ポイントは、代官山が3.75、中目黒が4.12、自由が丘が4.09、武蔵小杉が4.31なのに対し、学芸大学は4.37で(10月17日時点)、東横線内で最高の数字を叩き出しています。
確かに中目黒や自由が丘などは、街並みも立ち並ぶ店もオシャレで刺激に富んでいますが、人が多すぎるため、住むとなるとくたびれてしまうという意見もあるようです。そういったデメリットがポイントを下げているのかもしれません。