サラリーマンにとって人生プランの選択に直面するのは、雇用延長期間が終わり、年金受給が開始される「65歳」の前だ。漠然とは考えていても、いざ65歳が近づいてから選択を迷い始める人も少なくないはずだ。
だからといって、ギリギリになってからの選択では、もらえる年金額は決定している。長年働いた会社を退職することになってから、「次はどんな仕事があるのか」と探し始めるのでは職種や再就職先の選択肢も限られてしまう。期待する職や収入を得ることができる可能性は高くない。
「65歳の選択は50代、40代での備えが重要です」と指摘するのは“年金博士”として知られる北村庄吾氏だ。
「年金額を増やしたいと思っても、60代になってからでは繰り下げ受給など方法が限られるが、現役時代ならやり方は多い。雇用延長後もできるだけ長く働きたいと思うなら、現役時代から再就職をにらんで準備しておく。そうすれば、具体的な第2の人生のプランを持っていてもいなくても、65歳になるときにいろんな選択が可能になります」
では、「年金」と「老後の働き方」それぞれの面で、現役時代にどんな準備をしておくのが有効なのか。最初は年金の増やし方だ。
「厚生年金は現役時代の給料が高いほど多くもらえる。とはいえ、サラリーマンが自力で年金を増やすには、残業を頑張って給料を増やすなどが考えられるが、それには限界がある。一番有効なのは2017年からサラリーマンが個人で加入できるようになった個人型確定拠出年金(iDeCo)です。自分で積み立てて運用し、60歳以降に公的年金に上乗せして支給される。節税効果が非常に大きく、給料を定期預金して老後資金を蓄えるより有利です」