今年8月、お笑い芸人・ネプチューンの名倉潤が突然うつ病を公表し、世間を驚かせたが、働き盛りの夫が突然うつ病になることは、どの家庭にも起こりうること。その時、家族はどう対処したらよいだろうか。リアルケースを参考に、いざという時に慌てぬよう、心の準備はしておきたい。
フリー編集者でライターのC子さん(42才)の場合、マスコミ関連会社に勤める夫(45才)が今年9月に発症し、闘病中だ。子供は16才と13才。夫の月収は100万円から無収入に。すぐに生活を縮小し、家賃20万円のマンションから10万円のアパートに引っ越して車も売却した。C子さんが、当時を振り返る。
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新事業を続々と立ち上げて会社を黒字にしてきた夫は、誰よりも早く役員に昇進した、いわば“成功者”だったんです。しかし会社は、常に結果を求めます。「次年度は売り上げを2倍にしろ」など、仕事のハードルはどんどん高くなっていく。夫は会社のそんな要求に15年間も応え、業績を倍増させてきました。
本人は「仕事が好きだから」と頑張っていましたが、ストレスはたまっていたんでしょうね。5年前に不整脈がわかり、心臓のバルーン手術を受けました。突発性のじんましんや原因不明のめまい、1年前からは不眠症になるなど前兆はあったんです。
そんなある日、夫が珍しく午前中に会社から帰って来たので、理由を聞くと、
「やっとのことでマンションのエントランスを出て、這うようにして駅に行ったけど、どうしても改札の中に入れず、1時間立ち尽くした」
と無表情のまま涙を流しながら言うんです。心療内科に連れて行くと、うつ病だと診断されました。復職しても仕事の内容は変わらない。それでは、夫が殺されてしまうと感じ、家族で話し合い、会社を辞めてもらうことにしました。私が会社に電話をして退職の希望を伝えると、
「有休が60日分あるので、取得してから考えてください」
と言われました。さらに、役員だから失業保険や退職金は出ないとも言われました。まさに滅私奉公…。
会社のため、家族のために頑張ってくれた夫には、とにかく心の負担を減らしてほしい。今は家族一丸となって、夫のサポートをしています。
※女性セブン2019年11月28日号