ますます現金のありがたみが増すが、なぜ今、キャッシュレス決済がここまで増えているのだろう。
「日本のキャッシュレス化は、増加する外国人観光客の需要を取りこぼさないために国が推進しているものです。しかし日本人の現金を好む文化は根強く、思うようには進んでいない。PayPayなどの決済業者も赤字ですし、加盟店は3%以上の決済手数料が重荷になっている。また、一括払いが主流なためカード会社もそれほど大儲けはしていないと思います」(山本さん)
ではなぜ赤字でもサービスを続けるのか。思い浮かぶのは、個人の消費行動が一部のIT企業に収集され、ビッグデータとして利用されるということだ。
「メリットとデメリットは表裏一体。個人情報を差し出して便利なサービスを使わせてもらっている側面があります。気になるようであれば、使わない方がいい」(山本さん)
個人情報を考えた時、ポイントカードが危ないと言うのは、ポイントプログラムに詳しい「ポイ探」代表の菊地崇仁さんだ。
「キャッシュレス決済で特定できるのは購入店と金額のみですが、Tカードやポンタカードなどのポイントカードは、購入した品目まですべて記録される。今年、裁判所の捜査令状なしにTカードを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブが会員情報を捜査当局へ提供したことも明らかになっています」
お金の使いすぎを招くうえ、個人情報も立派な財産であることを考えると、キャッシュレス化に二の足を踏む人が多いのもうなずける。
※女性セブン2019年11月28日号