75歳まで働けば223万円
60歳以降の「第2退職金」はいくら期待できるのか。厚労省の外局である中央労働委員会の「平成29年退職金、年金及び定年制事情調査」によると、企業の8割に退職金制度があり、大卒の新卒社員のモデル退職金(会社都合退職)は、次のようになっている。
■勤続5年=約125万円
■勤続10年=約330万円
■勤続15年=約629万円
ただし、退職金の算定は「退職時の基本給」に勤務年数を元にした調整率を乗じて算定するやり方が一番多い。新卒と違って、雇用延長や再雇用の社員は給料が上がらないことが多いため、ここまでもらえるケースは少ないだろう。
そこで再雇用時の月給25万円でほぼ一定と想定すると、賃金水準が近い東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金調査」(平成30年)の高卒のモデル退職金(会社都合退職)が参考になりそうだ。
■勤続5年=約52万円
■勤続10年=約123万円
■勤続15年=約223万円
別掲の図はモデル退職金を参考に「同一労働・同一賃金」制度の退職金の新ルールをグラフ化したものだ。月給約25万円で60歳から65歳まで5年間働けば約52万円、70歳まで働くと約123万円、75歳なら約223万円の退職金という金額が一つの目安になる。
定年時の「1回目の退職金」と比べると金額は小さいが、雇用延長後も「第2退職金」がもらえるようになれば、60歳以降も働きながら老後資金を増やすための有力な財源にできる。
「退職金の支給は法律で定められたものではなく、会社によって算定方法はさまざまで、退職金がない企業もある。いくらもらえるかは自分の会社の就業規則で確認したほうがいいでしょう」(北村氏)
※週刊ポスト2019年11月29日号