住んでみたい街の理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか? まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は? 今回は「田町」(東京都港区)について、ライターの金子則男氏が解説する。
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東京を代表する重要路線は山手線をおいて他にありませんが、そんな山手線に誕生する新駅が「高輪ゲートウェイ」です。駅名に関してはいまだに賛否の声がある同駅ですが、山手線の各駅の駅間を考えると、これ以上の新駅設置は難しそう。都心部最後のビッグプロジェクトと呼ばれるのも納得です。高輪ゲートウェイ駅は来年開業予定ですが、そのお隣にあるのが今回取り上げる田町。注目の新駅の隣駅は、なかなか狙い目です。
鉄道はJRも山手線と京浜東北線という超重要路線2線が通っている上、都営地下鉄の三田駅もあり、都営三田線、浅草線の2線も利用可能。多数の路線が乗り入れる品川駅も3~4分ですし、東京駅もわずか9分です。さらに麻布十番や六本木方面には、コミュニティバスの「ちぃばす」が走っており、乗車料金は何と100円。お台場方面に向かうバスもあり、公共交通機関の利便性は満点です。
道路状況も良好です。駅の目の前には、箱根駅伝のコースにもなっている第一京浜が通っており、海側に出れば首都高速の出入り口もすぐ。羽田空港、レインボーブリッジ経由で湾岸方面、アクアライン経由で房総半島など、車があると非常に楽しめます。公共交通機関は最強に便利ですが、近隣のスーパーの選択肢はやや少ないので、買い物用にも車が欲しくなるかも知れません。
有名企業の本社にくわえ学校も多い
田町には三菱自動車、NEC、森永製菓、バンダイナムコといった有名企業が本社を構え、慶應大学、戸板女子短期大学、普連土学園など、多くの学校もあるため、“住む街”という印象は薄いかもしれませんが、駅から少し離れれば超高級住宅地が広がります。各国の大使館が立ち並ぶ慶應大学の裏手あたりには、目も眩むような超高級マンションが何軒も立っていて、治安の良さをうかがわせます。かつては静かだった芝浦口も再開発が進み、タワマンが次々と建てられて、“これぞアーバンライフ”という生活が営めるのではないでしょうか。付近には名門校が揃い、教育環境は申し分なし。大きな病院も近隣に複数あり、その点も安心です。