リードをつけずに犬を散歩する、外で急にもよおして立ち小便、スーパーの無料の氷をポリ袋に詰めて大量に持ち帰る──日常、何気なくやってしまったことが、実は罪に問われる事例となることがある。
そして、同じ行為をしながら“逮捕される人”と“逮捕されない人”の「境界線」が存在するが、その線引きはどこにあるのだろうか?
買い物で店員がお釣りを間違えて多く渡してくれた時に、「ラッキー」とばかりに知らん顔を決め込むと、詐欺罪に問われる可能性がある。
実際に、コンビニで携帯電話料金など1万5000円を払った男が、お釣りを4万円以上多く持ち去ったとして詐欺容疑で逮捕される事件が15年に起きている。弁護士の鈴木淳也氏が解説する。
「お釣りが多いことに気付いたのにそのまま持ち去れば、詐欺罪が成立します。逮捕された女は『気付かなかった』と供述していましたが、警察は1万円札を何枚も受け取って気付かないわけがない、と判断した」
お釣りで最高額の紙幣が渡されることに気付かないことはない、というわけだ。であれば、小銭であれば気付かなかったという弁解も成り立つはず……。
「確かに、小銭だと客側も気づかず黙認されるケースもある。境界線となるのは、『絶対に多くもらっている』ことに気付くような金額。1万円以上だと逮捕される可能性が高いでしょう」(鈴木弁護士)
※週刊ポスト2019年12月13日号