結局、女性は頑張って働いても、心身共に力尽きていく。さまざまな「理不尽の壁」がいくつも立ちはだかり、「働いたって損」「男が働いた方が豊かな暮らしができる」「結局専業主婦が最適」と思わせる社会構造になっているのだ。
「『貧困なのに専業主婦』という言い方は、暗に自己責任論を含んでいるように聞こえます。そして当人も、『自分で専業主婦を選択しているのだからとやかく言われたくない』と予防線を張り、知らず知らずのうちに『自己責任論のワナ』にはまっています。しかし、本当は専業主婦を選んでいる背景にはさまざまな制度や風土・文化的な障壁があって、その中には社会全体で解決すべきものもあるはずです」(中野さん)
状況は今後さらに悪化する可能性が高い。
「『女性が活躍する社会』に求められるのは、すべての女性を労働市場に参加させる政策です。当然、専業主婦を前提とした『配偶者控除』や、配偶者が受け取れる国民年金である『第3号被保険者』など、専業主婦に有利なさまざまな制度も見直されていくでしょう」(橘さん)
一般的に、女性は男性より長生きであり、夫に先立たれた後の人生も考えておかなければならない。総務省のデータによると、現在65才以上の女性の単身世帯では、2人に1人(56.2%)が貧困に陥っている。
「バブルの時代に『玉の輿婚』や『勝ち組婚』などといわれ、一生安泰と思われた女性も、夫と死別した後の分までは稼げておらず、貧困に陥っているのが現状です」(白河さん)
構造的な問題を抱える「貧困専業主婦」は今後も増えていくとみられている。そんな矛盾した社会をどう生きるか。やはり最後には、企業や男性、社会全体の意識が変わるほか解決の道はない。
いつまでも「幸せ」でいられるために、主婦も、まずは現実を直視することから始めるべきかもしれない。
※女性セブン2020年1月1日号