会社員が若手社員たちに接するときは、それなりの威厳が必要だという考えもあるが、一方で厳しさだけで接してはいけない、というのも道理だろう。昨今では若手からの評価が、自分の人生や収入にも直結する側面がある。年の離れた人間関係の構築が、自分の人生にどう影響するか、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が考察する。
* * *
先日、ウェブメディアの編集者が集う忘年会に行ったのですが、そこで同席した私の仕事仲間のM氏(45)が後日会った時、こう言いました。
「先日の会合、誰か若いいい人がいたらスカウトしようかと思って行ったんですけど、途中から考えが変わったんですよ。あの場にいた人々って我々よりも10歳ぐらい若い方たちじゃないですか。自分が60歳で定年退職した後も仕事しようと考えるなら、その頃、業務委託等で仕事をくれる権限を持っているのは彼らの世代。むしろ、あの会合で私は“物わかりのいいオッサン”的に振る舞い、15年後に何らかの仕事を彼らからもらう、という考え方も大事なのではないか、と思ったのです」
確かにその通りです。現在M氏は会社員ですが、若者に対しても非常に物腰が低い人物で丁寧に接しています。まったく高圧的なところがないわけですが、上記の話をした時は、将来、社内だけでなく、社外のネットワークからも仕事がもらえるようになりたいと2人して語り合いました。
だからこそ、同業の各所にネットワークを広げて、知り合いというか自身のことをよく思ってくれる人材を確保して、将来的な収入獲得につなげようと考えるわけです。
まさにこの考えというのは正しく、私自身もこの10年ほどやり続けているのは、年上の人々にヘーコラしたり媚びへつらって覚えを良くするというよりは、別組織の若者に仲良くしてもらうことです。