厚労省はさる12月16日、2021年からの介護保険制度改正に向けて大幅な制度改革案を社会保障審議会に提出した。厚労省資料によれば、施設への入居費用の補助が削られるとともに、介護サービスの自己負担上限引き上げられる。
さらに見落とせないのが高齢者の「貯金」が狙われていることだ。介護施設に入所した際の軽減措置(補足給付)には、収入とは別に重要な“基準”がある。現行制度では入所者の貯金額が1000万円以上あれば、収入がどれだけ低くても軽減措置を受けられない。
新制度ではこの預金基準がさらに厳しくなる。具体的には、年金月額10万円超の人は「貯金500万円」以下でなければ入所時の軽減措置を受けられず、同6万7000円なら貯金550万円以下、同3万円は貯金650万円以下が軽減措置の条件になる。
この基準はどうやって算定されたのか。厚労省資料にはこう書かれている。
〈介護保険三施設の本人支出額の平均と年金収入を比較し、補足給付を受けながら本人の年金収入で15年入所できる水準にする〉
お役所言葉でわかりづらいが、要は年金だけでは入居費用をまかなえない人が、貯金を取り崩しながら支払っていった時に、年前後で貯金が尽きるように逆算して基準を作ったということだ。「年金収入の範囲内で入居費用をまかなえるように補助する制度」から「入所者の老後資産を介護費用で吸い上げる仕組み」への大転換と言っていい。対策は2つある。ファイナンシャルプランナー・小谷晴美氏が語る。
「介護保険は要介護度が高いほど手厚い介護サービスを受けられる制度ですが、要介護認定の際には、比較的重度の要介護度4の患者でも中度の要介護度3とされたり、中度なのに特養に入れない要介護度2など低めに認定される傾向があるようです。
要介護認定は調査員の本人調査と主治医の意見書によって行なわれる。日頃から主治医とコミュニケーションをとって患者の状態を正確に理解してもらい、十分な給付を受けることができる認定をしてもらうことが重要です」