戦前から日本経済を牽引する三菱グループと三井グループの争いは、今も熾烈を極めている。
不動産業では東京駅周辺で丸の内エリアの「三菱村」に対して、三井が日比谷周辺の開発に取り組むなど攻勢をかけており、その覇権争いの行方が注目されている。銀行業では2019年3月期決算の連結業務純益で、三井住友フィナンシャルグループが三菱UFJフィナンシャル・グループを抜いて、3メガバンク体制になって初の首位を獲得した。
そうした中で、転機を迎えて注目されるのが小売・流通業界の「コンビニ」だ。三菱商事は2017年に約1440億円を投じてローソンを子会社化し、その後も多くの人材を送り込んで「支配」を強めた。『経済界』編集局長の関慎夫氏が語る。
「三菱商事はローソンと一体となって調達を行ない、商品力を高めている」
業界最大手のセブン-イレブン・ジャパンには三井物産が出資するものの、セブン側が三井グループとは距離を置き、商社によるコントロールを許さない状況が続いた。だがここに来て、事態は変化しつつある。
「2016年に事実上の創業者である鈴木敏文氏が経営から離れて以降、セブン-イレブンでは本部社員による無断発注や加盟店従業員の残業代未払い、セブンペイの不正利用によるサービス停止騒動など、不祥事が続出して足元が揺れています」(関氏)
店舗数、売上高や一店舗あたりの平均日販でローソンを凌駕するセブン-イレブンだが、相次ぐ不祥事が暗い影を落とす。
「ローソンと三菱商事がガッチリとタッグを組む状況は、三井物産にとって面白くないはずです。不祥事が続くセブンの混乱に乗じて、三井グループがセブン-イレブンやセブン&アイホールディングスへの関与を強めてくるかもしれません」(関氏)