そして、時価総額の大きさはこれらの企業にさらなる好循環をもたらしている。高い時価総額を利用し、株式交換や新株発行による調達資金、ストックオプションによって次々と有望な企業の買収や、有能な人材の確保につなげている。膨大な株式価値を活用して手元キャッシュを動かすことなく、まさにキャッシュレスで拡大を続けているのである。
現状、こうした米国の巨大企業群に対抗するポテンシャルがあるのは、中国企業ぐらいではないか。実際、アリババとテンセントという中国のIT企業は、FAAMGに続く形で世界の時価総額トップ10に名を連ねている。FAAMGが世界中の市場でビジネスを拡大しているように、アリババやテンセントも中国という巨大市場で大きな存在感を見せているのだ。
一方、日本では、ソフトバンクグループとLINEが手を組んだり、楽天が自らの経済圏を拡大しようと躍起になったりしているが、残念ながら、規模の違いもあって世界では太刀打ちできそうにない。
ネスレなど、欧州にも世界的な有名企業はいくつもあるが、米中の巨大プラットフォーマー企業の前ではどうしてもかすんでしまう。当面は、これら米中企業が世界経済を牽引していく構図に変わりはないだろう。
【PROFILE】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しなどを紹介するメルマガ「日本株通信」も展開中。