自宅で契約するインターネット回線サービス。インターネット回線といえば、新規契約や他社からの乗り換えの際に、数万円単位のキャッシュバックや商品をプレゼントする商法もよく知られる。そして、そのキャッシュバックと引き換えになることが多いのが、24時間の電話サポートやセキュリティなどの「オプション」への加入だ。大手通信キャリアで携帯ショップの統括をしているA氏に、インターネット契約時に多数のオプションが付けられるカラクリを聞いた。
A氏によれば、インターネット回線を販売する代理店は、契約時、継続利用、店舗のランクによる3種類のインセンティブが入るというビジネスモデル。オプションへ加入するごとにこれらのインセンティブが加算されるため、営業スタッフたちはなるべく提案に盛り込むように指導されている。
「金券でのキャッシュバックや家電などの商品を付けてでも、オプション契約を増やした方が、代理店にとっては“うまみ”がある。現金や物品だけでは差別化が難しいため、電力や引っ越しなどの手続き代行やクレジットカードの無料加入、キャッシュレス決済サービスの残高付与などを特典として付ける店も増えてきました」(A氏・以下同)
約40%がオプションをそのまま放置?
加入オプションは、数か月継続して欲しいとスタッフに頼まれることがある。即時に解約された場合、代理店にインセンティブが入らないことが多いからだ。A氏によれば、一度オプションに加入すると、およそ40%の客は解約せず、そのまま継続する。ショップ側の本音としては、このような解約忘れをあらかじめ期待したうえで、オプションへの加入を提案することもあるという。
「オプションサービス付きでの契約を促す商法を、業界では『ベタ付け』と呼びます。特に電話やネットで営業する代理店に多い商法で、キャッシュバックの金額が多い分、オプションも山盛り。インターネットとは直接関係のないようなオプションを数千円分付けるような会社も存在します。といっても、もちろんオプションの内容自体は悪いものではない。本来は丁寧に時間をかけてメリットを説明したいのですが、人員が少ない割に結果が求められる通信業界では、なかなか難しいのが実状です」