消費者物価は消費税込みで測っているので、その分上がらなければならないが、もちろんこれはストレートには上がるわけではない。軽減税率の適用で0.4%、幼稚園や保育園の無償化で0.5%、家賃や医療費など非課税品目の存在などによって0.6%、それぞれ上昇率が抑制される。それでも、消費増税の影響だけで2%増税した分、物価は0.5%上昇するはずだ。
ところが、トータルの物価上昇率は0.4%だった。だから本当の物価上昇率は、消費税の影響を外して考えると、-0.1%ということになるのだ。2019年11月の生鮮食料品を除いた消費者物価も前年比+0.5%と、消費税の影響を除くと、物価上昇率はゼロになっている。
前回2014年の消費増税は、あらゆる景気指標が改善していた中で実施されたが、それでも増税をきっかけに日本はマイナス成長に陥った。今回は、景気後退局面で同じことをやったのだから、日本経済が失速するのは明らかだ。これから、日本経済がデフレの悪夢に戻ってしまうことは間違いないだろう。
そうした見地から私は、今の資産バブルは2020年中に、早ければ東京オリンピック開催前、遅くとも年末までには弾けると考えている。2020年の年頭に、いきなり世界に衝撃を与えた米国とイランの戦争危機は、トランプ米大統領が軍事オプションを控えると表明したことで最悪の事態は回避したかに見える。だが、何をするかわからないトランプ氏のことだから、いつ抑えがきかなくなるかわからない。トランプ氏の思惑次第で、バブル崩壊が早まる可能性も十分に考えられる。