博報堂生活総合研究所が昨年行った調査「生活者が選ぶ2019年 ヒット商品」で、5位に入った「キャッシュレス決済」。同様に「2020年 ヒット予想」についても調査したところ、ランクを3位に上げる結果となりました。2025年までにキャッシュレス決済比率を40%にまで引き上げようという国の強力な後押しと、民間各社の活発なサービス展開もあり、大きな注目を集めているキャッシュレス決済。
博報堂ではキャッシュレス決済を含むFintechサービスに関する生活者の意識・行動の調査研究を行うプロジェクト「HAKUHODO Fintex Base」を2019年9月に発足(筆者もメンバーとして加わっています)。12月に「消費増税にともなうキャッシュレス決済状況に関する生活者調査」の結果を発表しました。こちらの結果を元に、キャッシュレス決済の状況と今後について展望していきたいと思います(調査概要は末尾に記載)。
消費増税後、大きく伸びたモバイル決済
まず、現金をはじめとするさまざまな決済手段について、消費増税の前後である、2019年3月時点と2019年10月時点とで、利用状況がどう変わったのかをみていきます。
「直近1ヶ月以内に利用したことがある決済手段は?」という質問に対して、結果はこのようになりました。
●決済手段の利用状況
現金:2019年3月 92.9%→2019年10月 93.4%(+0.5pt)
カード決済計:同 84.0%→同 84.7%(+0.7pt)
モバイル決済計:同 20.0%→同 35.9%(+15.9pt)
現金、カード決済ではほとんど変化がなかったのに対して、大きな伸びを見せているのがモバイル決済。さらに詳細を見ると、伸びの牽引役になっているのはQRコード決済であるとわかります(9.0%→27.6%)。
消費増税に合わせて開始されたキャッシュレス還元事業と、QRコード決済事業者が同時期に展開したキャンペーンとが相まって上述の変化につながったことに、まず疑いの余地はないでしょう。キャッシュレス化の流れは着実に進んでいるといえます。