業務の効率化のために外注をすることは普通のことだが、その結果、発生してしまいがちなのが発注主による下請けへの無茶振りである。自社の内部では「働き方改革」が進んでいるかもしれないが、その皺寄せは下請けの人々に及んでいる実態がある。先日、テレビ番組の取材を受けたネットニュース編集者の中川淳一郎氏は、このことを強く感じたという。
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先日、週刊誌から取材を受けました。内容は木下優樹菜さんと乾貴士選手の不倫疑惑を突き止めたネットの「特定班」および「鬼女」に関するものです。私は彼らがどんな人々で、過去にどんな「特定」をしたかを記者に伝え、それと同時に私の知り合いの「鬼女」を記者には紹介しました。「鬼女」とは「きじょ」と読み、5ちゃんねるの「既婚女性板」に出入りする人々のことを指します。鬼女のネット検索能力と点と点を線で繋ぐ能力は定評があるのですが、同誌ではそうした実態を明かしたのです。
雑誌発売の2日後、同誌の編集者から連絡があり、「朝の情報番組・Aから私に取材依頼が来ているけどどうするか?」と問い合わせが来ました。この問い合わせは水曜日の夜10時頃だったのですが、木曜日中に取材をしたいと言います。オンエアが金曜日だからです。切羽詰まっている状況は理解できたため、引き受けることにしましたが、担当者(山田さん・仮名)が夜の遅い時間にメールを書いてきたり、色々テンパっているんだな、ということは分かりました。
私は翌朝「今日は9時に胃カメラを飲んだ後は大丈夫です」とメールで伝えたところ10時に電話をします、という連絡が入りました。そして10時、彼女から連絡が来たところ、「雑誌にも出ていた“鬼女”さんも紹介してもらえませんでしょうか」と言われます。「本人の確認を取ってみます」と言い一旦電話は切り、その後鬼女本人も取材対応を了承。
山田さんと再び数分後に電話で喋ったところ、テレビ局まで来てほしいとのこと。いやいや、それはないでしょうよ。私は昨日の夜突然言われ、猛烈に忙しい木曜日に時間を作るのですから、局まで移動している時間は一切ありません。ただ、その時駅前にいたため、「今から電車に乗って15分で付き、20分取材をし、それで11時に事務所に戻れるならば局まで行きます」と伝えました。
それは無理だということで、私の事務所の最寄り駅近くの撮影を許可してくれる店を取ってもらえればそこで撮影をお願いします、となりました。