ビニール袋が廃止されたタイで、エコバッグ代わりにユニークなものに入れて買い物する姿がSNSに投稿され、日本でも話題になっている。こうした行動の裏には、“微笑みの国”らしい精神が隠されているといえそうだ。
タイ政府は民間企業と協力し、今年1月1日から主要小売業者75社でビニール袋の配布を停止するキャンペーンを開始。2021年の完全廃止に向けた取り組みの一環だという。
とはいえ、やはりいきなりは慣れない。タイ在住の記者は、バンコクの大型スーパー「BigC(ビッグシー)」に立ち寄り買い物をした際、うっかりエコバッグを忘れてしまい、結局、その日は品物を直接持って持ち帰ることになった。観光客と思しき人々も、記者と同じように品物を手に持って帰る人や慌ててエコバッグを購入する人など、やはり焦る客は多かったようだ。中には買い物かごに品物を入れてそのまま持ち帰ろうとする強者までいたほどだ(もちろん店側に止められた)。
スーパーならエコバッグを持っていこうと準備することができるが、コンビニだとそうはいかないケースも。ふらっと出かけたときに何かを購入したくなることもあるだろう。そんなときでもエコバッグは10バーツ(約35円)ほどで買える。小売店によっては、ビニール袋をまだ提供しているところもある。
そんな中、タイのSNS投稿には、“創意工夫”ともとれる姿が散見される。ツボやバケツ、スーツケース、リヤカー、洗濯干し、洗濯かご、米袋、工事用カラーコーンなど様々なものを袋代わりに使用。まるで今回のキャンペーンを楽しむような姿が印象的だ。
記者はこのようなSNS投稿を、タイの人々がどう思っているのか気になった。日本に住んでいたことがあるという30代の女性会社員は、「いつものことです。タイ人は基本的に何でも面白くしてしまおうという精神なので。2011年の大洪水のときもそうでしたよ」と笑う。