タイでは2011年8~12月にチャオプラヤー川が氾濫し大洪水に襲われ、甚大な被害を受けた。女性がスマホを取り出して見せてくれた写真には、浸水した部屋で水着にゴーグル姿の男性が椅子から飛び込もうとする瞬間や、冠水した道路で男性2人が机とイスを持ち寄り優雅にお酒を飲む様子、子どもたちが川のようになった道を板で波乗りする姿などが映っていた。なぜこうも明るくユーモラスなのか。
「仏教の教えに、自然災害など変えられないものに対しては、自分の心を変えるしかないという教えがある。つまり、受け入れるということ。タイ人の場合、それを置かれた状況で最大限どう楽しむかと解釈しています。“楽しんだ者勝ち”みたいな感じです」(前出・タイ人女性)
ジュースや食べ物などを持ち帰る際に、ビニール袋を日常的に用いることが多かったタイ。ビニール袋に直接飲み物が入っており、ストローがついた形態もあるほどだ。今回のキャンペーンで屋台は対象外となっているものの、不平や不満はなかったのか。
「もちろん一部では『不便』だという反発もあったようですが、ほとんどの人は賛同しているように思います。キャンペーンが始まる前に、ビニール袋のせいで海洋生物がこれだけ死んでいるという事実を、死んだ生物の写真とともに『ビニールは中止にしよう』と訴えかけるSNS投稿をよく見かけました。
タイは仏教国なので、生き物を大切にします。輪廻転生を信じているので、自分が海洋生物に生まれ変わって、ビニール袋で死にたくないという思いもあります。そういう意味でも、生き物を大切にし、生活を楽しむような投稿をSNSで率先して発信しているのでしょう」(同前)
日本でも、7月から全小売店でビニール袋が有料化される予定だ。面倒だと思っている人は、タイ人の精神を見習ってみるのもいいかもしれない。