2月17日から確定申告の受付が始まるが、年金生活者が注意したいのが、健康保険や介護保険などの「社会保険料控除」だ。現役時代は会社が年末調整をしてくれたが、退職後は自らの申告が必要。この手続きを怠ると、本来払わなくて良い税金を納めることになる。
例えば、夫婦で年金収入300万円のAさん(70)が国民健康保険と介護保険などで年間40万円を払うケースでは、確定申告により1万円近く戻ってきた。
現在、公的年金の受給額は原則「年間400万円以下」なら確定申告は不要だ。このためAさんのような年金暮らし世帯が「税務署には縁がない」と社会保険料を支払っているのに確定申告しないと、気付かずに損をしていることになりかねない。
医療費控除と同様に、社会保険料は家族の分をまとめて合算できるケースがある。元国税調査官で税務コンサルタントの大村大次郎氏が指摘する。
「最近は定年後の親が、定職につかない30代や40代の子供の世話をみるケースが多い。その際、生計を一にしており、親が子供の国民年金や国民健康保険の支払いを肩代わりしていれば、その分まで合算して確定申告できます。現役世代が年金世代の両親の社会保険料を肩代わりしている場合も同様です」
社会保険料のほかに生命保険料や地震保険料も控除の対象となる。年末に郵送される各種の「控除証明書」が必要書類となるので、大切に保管しておきたい。
※週刊ポスト2020年2月14日号