今年1月から大幅な税制改正が実施された。所得税の計算のベースとなる「基礎控除」や「給与所得控除」「公的年金等控除」「配偶者控除」などの基準が変更されたため、年金受給者も現役サラリーマンも税金計算が変わる。
現実には、この改正で取られすぎた税金の確定申告は来年行なうことになるが、いざとなってからでは間に合わない。今年のうちに“損しない”申告方法を知って備えておく必要がある。
確定申告と聞くと“自営業者や高額所得者のためのもの”と思いがちだが、大きな間違いである。
とくに注意したいのは「在職老齢年金」をもらっている人だ。働きながら年金を受給している場合、確定申告が必要かどうかは給料と年金の金額で決まる。給料が年85万円(月給約7万円)を超え、かつ、年金収入が65歳未満なら年に90万円、65歳以上は140万円を超える人は確定申告の義務がある。
まず知っておきたいのは、「在職老齢年金」の受給者が確定申告をすると、税金が増えるケースが多いことだ。
理由は税金の源泉徴収の仕組みにある。給料と年金から天引きされる税金を計算する際に、どちらにも「基礎控除」が適用され、本来の税額より少ない金額が徴収されているケースがある。確定申告するとそれが修正され、納めなければならない税金が数万円増える。