「シニアがプログラミングをする意義は、大いにあると思います」と言う小泉さん。月1回、シニアのプログラミング学習を支援する『もくもく会』を開催している。
「アプリは人を楽しませたり、生活を便利にしたりするもの。新たなアプリを作ろうとすると“世の中で何が流行っているか”などと考えがちですが、実はそうではない。生活の中の切実な不便に“こんなのがあったら助かる!”という視点が大切なのです。
その点、人生経験や生活感覚が豊かな高齢者は有利。不便にも事欠きません(笑い)。デジタル機器やアプリのユーザーの多くもどんどん高齢者になる。高齢者自身が困ることは、多くの高齢者も共感できるし、制作側になることで潜在的な需要の発掘にもなる。これは若い技術者がヒアリングなどから得る情報では、はるかに及びません。困りごとを悲観すればただの愚痴ですが、アプリ開発に生かせば創造の種になるのです」(小泉さん・以下同)
シニアプログラミングネットワークでは、“作りたいアプリ”について複数でアイディアを出し合い、実現につなげるワークショップ「ハッカソン」も不定期に行っている。
世界最高齢のアプリ開発者として注目されている若宮正子さん(84才)も、小泉さんからプログラミングを教示された1人。
「若い人に勝てるゲームを作りたい」という若宮さんの思いを、小泉さんのアイディア発想手法で引き出し、雛人形を壇上に正しく配置するゲーム『hinadan』の開発に至った。高齢者は画面を長押ししながら移動させるのが苦手なので、アイコンを軽く叩いて使うという工夫をした。思いを形にしたこの手法を、今のハッカソンで大いに生かしていると小泉さんは言う。