テーブルに座るすべての人間が理解できるように話すのがテーブルマナーの基本だが、最低限の教養を持ち合わせていないY子さんにも問題がある。新聞記者の妻でありながら、与党と野党、右翼と左翼という言葉も知らないというのだから、話が合わなくても仕方ない。さらに、生粋のエリート家系に育った夫の親族との付き合いも大変だ。
「息子が生まれると、夫も義父母も当然のように“お受験”をさせると宣言し、息子はめでたく名門私立小学校に合格しました。夫の親戚は揃いも揃って高学歴なので、親戚が集まるたびに、高卒のY子さんは『私の学歴の話になりませんように』と、祈るような気分で過ごしているそうです」
そして息子が中学生になった今、ついに家族団らんの瞬間さえも安らぎの場でなくなってしまう。
「息子は夫に似て秀才で、いつも“字ばっかりの本”を読んでおり、時事問題について夫と息子が話す会話もチンプンカンプン。彼らはテレビもニュースや教養番組しか見ないので、常に疎外感を感じており、『何だかとってもつまらない生活』をしているそうです」
これで夫婦仲が悪ければ離婚という選択肢も出てくるかもしれないが、夫は年下の美人妻を溺愛しているので、Y子さんの不満はただのワガママだ。しかも、不満を解消するために努力をしている節も見られない。そんなY子さんにとって唯一の心の支えは昔からの友人だが、“上級国民”化したY子さんの不平不満など、庶民暮らしをする者には自慢話にしか聞こえず、友人からもいよいよ避けられるようになっている。
「お金持ちと結婚する」という夢は叶ったが、だからといって幸せな結婚生活を送れているわけではないようだ。