2月7日の財務省の速報で、アメリカ産牛肉の輸入量が前年の122%に増加したことがわかった。今年1月から関税率が下がり、輸入量が激増しているアメリカ産牛肉だが、そこには恐るべき問題点が指摘されている。
多くのアメリカ産牛肉には、牛の生育を早め、飼育コストを下げることを目的に天然や合成の性ホルモンから作った「肥育ホルモン剤」として女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)が投与されている。1970~1980年代にかけて、そうした肉を食べた幼い女の子の乳房がふくらんだり、月経が起きるなどの異常な性発育が続出した騒動以来、EUでは1988年に肥育ホルモンの使用が、1989年には肥育ホルモンを使った肉の輸入が全面禁止となった。その後、EU諸国では乳がん死亡率が20%以上減ったという。
当の米国でも「ホルモンフリー」の肉が人気を博すなど、世界中で問題視され、避けられている。無邪気に食べているのは日本人だけなのだ──。
原産国名表示が必須となるスーパーの生鮮食品は、産地が確認できる。しかし、加工食品は、重量が最も多い食材が肉でない限り、産地を明記する義務はない。レトルトカレーから冷凍コロッケまで、さまざまな商品に牛肉は入っている。また、お総菜の肉じゃがや牛肉の炒め物も、安いアメリカ産である可能性は充分あり得るのだ。
2月6日、国民民主党の岸本周平衆院議員のツイートが波紋を広げた。
《牛丼をいただきました。成長ホルモンや成長促進剤を使ったアメリカンビーフの可能性が高く、健康には悪いのですが、安くて美味しいのでよく食べます》
同議員のフェイスブックには、先のツイッターにはない、こんな一文が添えられていた。
《成長ホルモンや促進剤を国内で禁止しながら、使用した肉類の輸入を許可している先進国は日本だけです》