首都圏住民にとって、「鉄道」は日々の生活に欠かせないものだ。毎日のように利用する路線や駅には愛着がわくが、その一方で重要なライフラインゆえに「なんでこんなに不便なんだ!」と、イライラが募ることもしばしば。試しに各沿線の住民たちに訊ねてみると、不満や怒りの声が出るわ出るわ。
多摩地区から都心までを東西に貫くJR中央線。沿線には中野、高円寺、荻窪、吉祥寺などの個性溢れる人気タウンが数多くある。
「終電の時刻が遅いので、他の沿線住民より遅くまで飲んでいられる。沿線の街も庶民的で住みやすい」(30代・会社員男性)などと支持される路線だが、多くの利用者が「ホームの狭さ」に辟易しているようだ。武蔵小金井駅を利用する40代男性が言う。
「駅ビルや駅ナカ施設は年々充実してきていますが、肝心のホームは昔のまま。乗降客が溢れんばかりなのにホームが狭いので、階段付近にはいつも行列ができています。ホームドアがないので、はずみで客が転落しないかヒヤヒヤもの。他の駅も似たような状況のところが多い。そもそも中央線は人身事故が多いことで有名。何よりもまずホームドアの設置を急ぐべきではないか」
中央線の乗客は、併走するように運行している総武線を利用することも多い。両路線を使って新宿方面へ通う千葉県民からはこんな声も。
「夜遅くになると総武線は御茶ノ水駅始発となるから、御茶ノ水で席の奪い合いが起きるんです。新宿から帰る時はオレンジ色の中央線(東京行き)に乗って御茶ノ水で乗り換えるわけですが、そこで真向かいのホームの始発電車に乗り換えて席を確保しようとする客の大移動が始まる。ダッシュする人も多く、さながらデパートのバーゲンセールようなパニック状態。転倒する人が出てもおかしくない」(50代男性)
こうしたユーザーの声をあらためて東日本旅客鉄道株式会社に伝えたところ、次のように回答した。
「ホームドアについては、今後、整備対象駅を拡大するとともに、整備のペースアップを図り、2032年度末頃までに、東京圏在来線の主要路線全駅に整備してまいります」(広報部)
※週刊ポスト2020年2月28日・3月6日号