投資

デイトレで利益を狙いやすいIPO株選びのポイント

 こうした高いパフォーマンスを見せたIPO銘柄を分析すると、ある共通点が見えてくる。それは、(1)上場時の資金調達額が少ない、(2)ベンチャーキャピタル(VC)が大株主に少ない、(3)ロックアップ(後述)がある、という3つの共通点だ。この3条件を満たしているIPO株は、上場日の初値と高値を比べた騰落率が大きく跳ね上がると考えられる。以下、説明していこう。

(1)IPO株の上場初日の株価は、その銘柄の成長性などは考慮されず、ほぼ需給バランスで動くことがほとんどだ。つまり、買いたい投資家が多いのに「上場時の資金調達額が少ない」銘柄は、当然のごとく需給がタイトになって株価が上がりやすくなる。実際、上場日の初値と高値を比べた騰落率がプラス20%を超えた銘柄のほとんどは、調達額が10億円台以下だった。

(2)上場後に投資資金の回収で保有株を手放す可能性がありそうなベンチャーキャピタルが大株主に多いと、それが懸念されて株価上昇を抑える可能性が高い。逆に「ベンチャーキャピタルが大株主に少ない」と、安心感から投資家の買いが入りやすい。

(3)ロックアップとは、大株主が上場直後に株を売ることができないという、株主と主幹事証券会社の契約のこと。IPO直後で流通する株数が少ない状態で、大株主が一気に株を売るようなことがあると、需給バランスが崩れて株価が暴落する恐れがある。それを防ぐための措置で、上場から90日、180日などの期間や、公開価格に対する株価の上昇幅を決めて、解除の条件を満たさない間は大株主が保有株を売却できないように定められている。つまり、「ロックアップがある」と上場日に大株主の売りで需給バランスが崩れる心配はないので、株価は上がりやすいといえるのだ。

 これら3条件はいずれも、上場目論見書と呼ばれる「新規上場申請のための有価証券報告書」を見ればチェックできる。投資情報サイト「IPOジャパン」でも確認できるので、参考にしてみてほしい。

■西堀敬:投資情報サイト「東京IPO」編集長などを経て、現在は「IPOジャパン」編集長(https://ipojp.com/)。IR説明会、セミナーなども多数行なう。著書に『改定版 IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』など。

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