IPO(新規上場)銘柄で利益を出すには、ブックビルディングに参加して公開価格で入手しなければならない、と考える人もいるかもしれないが、利益を狙うチャンスは他にもある。公開価格で入手できなくとも、上場当日のトレードで大きな利益を狙うことも十分可能だ。IPO株の上場当日のデイトレード戦略のポイントについて、投資情報サイト「IPOジャパン」編集長・西堀敬氏が解説する。
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まずは、日中に相場に張り付いてトレードができる環境にある人ならば、上場後の初値がついた時点で買って少し上がったところで売るという、IPO当日の1日限りで決済するデイトレード戦略が考えられる。IPO株は上場後の初値がついた後、必ずといっていいほどその日のうちに株価が大きく上昇する局面があるからだ。
実際、2016年から2019年の4年間にIPOしたすべての銘柄について、上場日の初値とその日につけた高値を比べた平均の騰落率を見ると、2016年がプラス9.9%、2017年がプラス8.4%、2018年がプラス8.7%、2019年がプラス8.9%。4年間の平均はプラス9%となっている。
もし、この4年間でIPOした銘柄のすべてを上場初値で買って、その日の高値で売り抜けることができれば、平均9%の利益が出ていたということだ。
ただし、9%はあくまで平均なので、そこまで上がらないケースもあるだろう。しかも、高値で売り抜けることは難しいので、まずはあまり欲張らずに4~5%上がったところで売り抜けるという戦略が得策といえそうだ。
とはいえ、それでは満足できない、IPO初日のデイトレ戦略でもっと利益を狙いたいという人もいるだろう。ある程度のリスクは承知のうえで、もっと利益を狙うにはどうすればよいのか。
たとえば、2019年10月29日にIPOしたジェイック(東証マザーズ・7073)の上場日の初値(1万320円)とその日の高値(1万3320円)を比べた騰落率は、プラス29.1%だった。そのジェイックを筆頭に、2019年にIPOした全86銘柄の中で、上場日の初値と高値を比べた騰落率がプラス20%超となった銘柄が8銘柄あった。