きょうだい間で意見が分かれることもある。親と同居する子供が、離れて暮らすきょうだいに「施設に入居させたい」と連絡すると、反対されるといったケースだ。
「別居の家族がいる場合は、前もって情報を共有しておくのがコツです。例えば『最近病状が悪化していて大変』といった近況を、普段から共有しておくと円滑に進みやすい。施設に入居するなら、一緒に施設を見学しようと提案するなど、介護に巻き込んでおきましょう」(太田さん)
「最期ぐらいはいい施設に」は禁物
介護についてまわるのがお金の問題だ。太田さんは「甘く見積もって失敗するケースが多い」と指摘する。
「介護は短期決戦だと考える人も多いのですが、いまは2人に1人が90才を迎える時代。80才から介護が始まったとして、10年間続きます。数年で終わると思い、『最期ぐらいはいい施設に』とお金を出す子供もいますが、無理は禁物。介護開始時に現役世代だった子供が、途中で年金生活になり、介護費用を捻出できなくなるケースは少なくありません」
親の介護には、親のお金をあてるのが原則。100才まで介護が続くケースを想定して、事前にシミュレーションしておくのが理想だという。
「介護スタート時点で、親の年金と預貯金を確認。もし子供が援助できるお金があれば、合わせてどう使っていくかを考えます。あくまで親の生活にかかるお金なので、子がお金を出せなくても罪悪感を抱く必要はありません。介護にかかる費用は、在宅で平均月5万円。施設なら平均11万7000円というデータも。さらに、親が入院すると個室費がかさむことがあるし、遠距離介護なら交通費がかかります。想定外の出費も見込んでおきましょう」(太田さん)
※女性セブン2020年3月19日号