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91才の母が直腸腫瘍から出血、延命治療を希望しなかった山口恵以子さんの判断

普段の相談が親の死生観を知る手がかりに

 本人が自分で決めたり伝えたりできない場合は、家族が本人の意思を代弁して、決断を迫られることがある。延命治療をどうするか、自宅に帰らずに病院で看取るか──人の命にかかわる決断をするのは、家族にとって精神的負担を伴い、医療者に任せてしまう人も少なくないという。

「終末期の患者ご家族に『胃ろうをどうするか』と聞いても『お任せします』と言われることがあります。『私は手を汚したくないから先生にお任せします』と言われたことも。これは医療知識とは別の話。

 大切な人の死について、家族なのに傍観者の立場にとどまり、考えてこなかったことの結果だと思います」(長尾さん)

 どんな最期であれ亡くなった後に「本当によかったのか」と後悔してしまうものだが、最善の判断をするにはどうすればいいのだろうか。長尾さんは、山口さんのように、日頃から親の死生観を理解しておけば、“母ならこう考えるかな”と判断しやすくなるという。

「例えばドラマや映画を家族で見ると、自然と感想が出てきますよね。すると親は『私は家で死にたい』とか『ああいう最期がいい』とか口にする。ちょっとした普段の雑談が、親の死生観を知る手がかりになります。親がどんな最期を迎えたいかという話は、お盆や年末年始に実家に帰ったときに突然切り出して話せることではありませんから」(長尾さん)

 昔の写真を探し出して、思い出話をするのも1つの方法だという。

「親が自分を抱っこしているような昔の写真を見れば、自然と親や自分の人生を振り返ることができるでしょう。リビングウィルノートを書くのもいいと思います」(長尾さん)

※女性セブン2020年3月19日号

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