金融安定化の次の段階としての需要拡大策
中国では、生産の秩序立てた回復が着々と進んではいるものの、消費を控えざるを得ない状況が今後も続くのは必至であり、金融を安定化させた次の段階の政策として、需要拡大政策が打ち出されようとしている。
3月4日に開かれた中央政治局常務委員会会議では、その点について以下の点を強調している。
生産の回復と内需拡大を結合させ、抑制され、凍結された消費を解き放し、感染防止、コントロールを行うといった中で生まれた新しいタイプの消費を促進し、消費のレベルアップを育成・成長させ、実物消費、サービス消費を回復させる。
良質な投資プロジェクトを選び、適切な用地、人材を確保して、適切な方法で資金を集め、国家計画が既に明らかにしている重大プロジェクト、インフラ設備建設の推進を加速させる。公共衛生サービス、災害に備える緊急物資の確保などの領域への投入を拡大させ、5Gネットワーク、データセンターなどの新型インフラ設備建設の進捗度を上げる。
これを日本が参考にするとすれば、教育のオンライン化投資、5Gネットワークの設備投資の加速といったあたりだろうか。特に5Gネットワークの拡充はAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、自動運転など幅広い用途に大きな波及効果がある。こうした投資を全力で加速させるような政府主導による対策に期待したい。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。