新宿歌舞伎町を歩いていると「客引きには絶対について行かないで! 客引きは100%ぼったくりです!」といったアナウンスが流れている。風営法や都迷惑防止条例が、しつこく付きまとって居酒屋やキャバクラへ誘う客引き行為を禁じていることもあり、最近ではかなり人数も減ってきているが、それでもいまだに客引きに声をかけられるというケースは少なくない。
なかには客引きから「今だったら通常料金よりサービスしますよ」と言われて、お得感からついつい付いていってしまう人もいるかもしれないが、それが仇となり、結局ぼったくられて大散財してしまうことになる──。
実際のケースを見てみよう。金曜の夜に5人で歌舞伎町に行った30代男性・Aさんは、1軒目の店を出てすぐに客引きから話しかけられたという。
「次のお店決まってますか? うち◯◯や△△(両方とも有名チェーン店)などと提携してるんですよ」と、矢継ぎ早に話しかけてくる。そしてその有名チェーン店のロゴがプリントされているカードをチラつかせる。
Aさんが「◯◯に行きたいと思ってるんです」と答えると、客引きはすぐにスマホを取り出し、「この店舗ですよね。そしたら僕が電話して、空いているか聞いてみますね」と、電話をする。それまでずっとスマホの画面を見せていたのに、電話をする画面は隠していた。
「今から5人ですが、空いていますか? 満席ですか。了解しました。(Aさんに向かって)やっぱり金曜なので満席みたいですね。こっちのお店ならさっき確認したら空いていたので今すぐご案内できますよ」
そう言って、聞いたことのないお店を示してくる。先程、客引きが電話をする画面を隠していたことに違和感を覚えたAさんは、客引きとのやりとりを一緒にいた仲間に任せて、客引きが電話したはずのお店にこっそり電話をかけてみた。すると、満席というのは真っ赤なウソで、すんなり予約が取れたという。